2012年8月27日月曜日

親子で学ぶ四ツ谷用水バスツアー

8月23日に仙台市環境局環境対策課主催のバスツアーに参加してきました。

このツアーは、以下の団体のご協力により実施されています。
・仙台・水の文化史研究会
・「四ツ谷の水を街並みに!」市民の会
・仙台リバーズネット・梅田川
水・環境ネット東北

夏休み中に親子でまわれるツアーなので、自由研究の題材にと参加した人も多かった様です。仙台市役所からバスに乗って移動です。

◆四ツ谷用水取水施設
 はじめに、郷六にある宮城県管理の取水施設を特別に見学させていただきました。
 急な階段を下りると、広瀬川から取水のために設置された四ツ谷用水堰堤(えんてい)を見ることができます。
 通常、堰は川の流れに垂直方向に設置されるのですが、この堰は取水口に向かって斜めに設置されています。

通常の取水口では、スクリーンと呼ばれる鉄柵などでゴミをせき止めていますが、ここでは自動でゴミを取り除く除塵機が稼動しています。夏の大雨による流着物、秋の落ち葉、冬の雪などで、除塵機がないと取水口が詰まってしまいます。
除塵機の鉄柵に掛かったゴミは、目詰まりとともに機械にすくい上げられて、階段上におろされ山積みになります。さすがに、山積みになったゴミの片付けは人間の役目です。

様々な測定器などの隙間で、水質確認のための金魚が飼われていました。


◆宮城県工業用水路沈砂池
次に向かったのが堰から少し下流にある沈砂池。
ここは、江戸時代の四ツ谷用水の平堀を確認できる唯一の場所です。
水に含まれる泥などを沈殿させて上澄みだけを流します。

通常であれば、四ツ谷堰で取水した水はここから沈砂池に流れ込んできます。トンネルの半分くらいの高さまで水に浸かるそうです。

震災前は、ここで沈めた砂(ほぼ泥)は、乾燥させて園芸用の土などとして安価で販売していたのですが、震災以降は流通させていないそうです。

◆聖沢掛樋
聖沢を渡る水路橋です。蓋がされているので、水が流れる様子は見られません。
そばには「防火用水」の標柱が木々に埋もれるように残っていました。かつての四ツ谷用水の役割を示す貴重な証ですね。

◆大崎八幡前~歯学部支倉堀跡~東北大学農学部前
バスの中からの見学です。身近な場所に四ツ谷用水の面影が残されています。
意識しないと通り過ぎてしまう様な、かすかな手がかりだけが、今は残されています。

◆宮城県工業用水道管理事務所(大梶)
広瀬川からおよそ9kmに位置する浄水場。
沈砂池で泥を沈殿させたあと、導水路を通って大梶浄水場にやってきます。下の写真は高速凝集沈殿池。
広瀬川から取水したもののうち、余剰分は梅田川に放水されます。

ここで、宮城県の職員の方から、工業用水の濁度について説明がありました。手に持っているのは片方は水道水、片方は工業用水です。工業用水とはいえ、水道水と見た目で判別はできません。
しかし、下に黒いラインが書かれた台に乗せると、一目瞭然です。工業用水の方は、濁って黒いラインがぼやけて見えます(右側)。
その代わり、単価は水道水の1/50程度のようです。



伊達政宗が城下町を建設するにあたり、崖の下を流れる広瀬川から消防・飲料・生活・農業用水として取水するために築いたのが、四ツ谷用水です。
低い位置から取水ができないため、標高の高い上流から取水し、城下町に四ツ谷用水が張り巡らされました。
「水の都・杜の都」の原風景がここにあるのではないでしょうか。

四ツ谷用水は、上下水道の整備とあわせて次々と姿を消してゆき、現在は本流だけが仙塩工業用水として、その水流を伝えています。